前ページ次ページ

2.3.4 前震と群発地震

図2.3.4-1 1978年伊豆大島近海地震(M=7.0)の前震と余震の分布[茂木清夫(1982)による].×印は本震の震央.

 前震は、余震と違って狭い範囲で発生する。図2.3.4-1に、1978年伊豆大島近海地震の主な前震の分布を示す。くの字型の太線は本震の震源断層で、余震はこの線に沿って起きている。一方、前震は震源断層の東端付近にかたまって発生した。この場所は、伊豆大島近海地震の破壊開始点と一致している。震源断層とその破壊開始点については第5章で詳しく解説する。

 このように、前震活動はほとんどの場合、本震の破壊開始点付近で起きる。前震は、これから大破壊が始まることを告げ知らせる、大地震の前兆現象である。実際、世界初の地震予知の成功として知られる中国の海城地震(1975年、=7.4)の際には、活発な前震活動の発生が直前予知の決め手となった。

 しかし、ある地震の群れが大地震の前震活動であるかどうかは、本震が起きて初めて確認できることである。地震予知のためには、その地震群が前震活動なのか、それとも単なる群発地震で終わってしまうのか、あらかじめ識別する必要がある。これまでに様々な努力が行われてきたが、残念ながら信頼できる識別法はまだ見つかっていない。

 過去の事例から、前震−本震−余震型となりやすい地域はある程度わかっている。摘出し、そのような地域で集中した地震活動が始まったら、前震の可能性ありと考えて警戒すべきである。


前ページ次ページ