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5.2.4 震源スペクトル



図5.2.4-1 東北地方に発生した=4.2の地震の震源スペクトル.[中原恒による].震源距離約25kmの観測点におけるS波記録に基づく.

 観測された地震波をフーリエ変換することによって、観測波のスペクトルが得られる(4.1.4参照)。これに地震計の特性や地震波伝播過程の影響を補正して、「震源スペクトル」を得ることができる。これは、震源断層の破壊過程を周波数領域で見たものである。

 震源スペクトルの一例を図5.2.4-1に示す。これはスペクトル振幅を周波数に対してプロットしたものである。縦軸、横軸ともに対数で表示されていることに注意されたい。スペクトルは複雑な構造を示すが、そのピークは2本の直線A、Bで概ね包絡される。

 直線Aは、低周波域ではスペクトル振幅が周波数によらないことを示す。直線Bは両対数表示で−2の傾きをもつので、スペクトル振幅は、角周波数ωの2乗に反比例して高周波になるほど減少する。このように単純化した震源スペクトルを「 モデル」と呼ぶ。多くの地震の解析から同様の結果が得られ、モデルは、震源スペクトルを記述する標準モデルとして受け入れられている。

 断層破壊の理論によれば、直線Aは周波数0まで延びている。そして、そのスペクトル振幅が地震モーメントに対応する。地震モーメントの推定法として、最も広く用いられているのがこの震源スペクトルに基づく方法である。

 ここで注意しなければならないのは、地震計の計測可能な周波数帯である。これが十分に低周波域までカバーしていないと、スペクトルが平坦なA部分を見ることができない。震源スペクトルの構造をきちんと捉えるためには、広帯域地震計が必要となる。


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